前の話 >> メルカゾールの投薬量調節
甲状腺機能亢進症の闘病中のトラちゃん。
治療のためにメルカゾールを投与したところ、食欲不振の副作用が出てしまいました。
食欲不振に伴う脱水のため、しばらくは点滴が欠かせなくなってしまいました。
連日通院するうちに、ある日、いつもと違う獣医師の先生に点滴をしていただくことになりました。
甲状腺機能亢進症の治療法の選択肢
甲状腺、取っちゃえばいいんじゃないですか?
その先生は、トラちゃんのカルテを読み、トラちゃんの喉を触りながら言いました。
先生「確かに甲状腺がかなり腫れていますね。甲状腺、取っちゃえばいいんじゃないですか?」
私「取るって、手術で取るってことですか?」
先生「そうです。自分だったら甲状腺機能亢進症は手術しちゃいます」
かなりびっくりしました。
これまで甲状腺機能亢進症の治療方法として、薬での治療のみを指導されていました。
勉強のために読んだ動物病院のブログなども薬物療法を勧めていました。
なので、甲状腺機能亢進症は薬で治療するものだと思い込んでいたのです。
甲状腺機能亢進症の手術のメリット
先生曰く、手術の一番のメリットは、
「薬と違い、病気を根治できる可能性がある。手術後は基本的にメルカゾールは不要になる」
手術の難しさ・安全性は、
「そんなに難しい手術ではない」
「とはいえ、麻酔のリスクや甲状腺摘出にともなうリスクはある」
コストについては、
「ざっと見積もって20万円くらいはかかる。けれども、一生薬を飲み続けることを考えると、手術の方が安くなる可能性もある」
この半月ほどでトラちゃんとメルカゾールの相性の悪さには困り果てていたため、目からウロコの朗報でした。
とりあえず、その日は家に帰って家族で相談してみることになりました。
甲状腺機能亢進症について猛烈に勉強しなおした
これまで、猫の甲状腺機能亢進症の治療方法は薬物療法が主流だと思い込み、これまでは薬物療法についての勉強しかしていませんでした。
そのため、この日から甲状腺機能亢進症の治療法について、手術も含めて猛勉強しました。
身近なところにあった猫の病気についての書籍では、甲状腺機能亢進症についての記載は見つけられなかったため、情報源は主にインターネットになりました。
そんな中、出会ったのが南が丘動物病院のWEBサイトです。
猫の甲状腺機能亢進症の診療コラムが本当に充実しています。
他の動物病院とは比較にならないほど。
どうやら院長先生は日本における猫の甲状腺機能亢進症の手術の第一人者のようです。
このWEBサイトを通して、「甲状腺機能亢進症の治療方法として手術という手段もある」ということを啓蒙されている様子でした。
先生ご自身のペット猫さんが甲状腺機能亢進症になった際はご自身で執刀されたようです。
これは信頼感が高まります!
先生のペット猫さんだけでなく、他の症例についても、時には写真入りで診療コラムにされています。
さらには、メルカゾールの副作用についての情報も載せてくださっている!
ありがたや・・!
甲状腺機能亢進症に関する診療コラムはいくつかあるのですが、南が丘動物病院のWEBサイトの中からは少し探しにくかったため、今回私がお世話になったコラムをこちらにまとめてみました。
ぜひチェックしてみてください。
また、南が丘動物病院のWEBサイトを通して出会ったのが、「2016 AAFP 猫の甲状腺機能亢進症の管理のためのガイドライン」です。
全米猫獣医師協会が作成したガイドラインで、猫の甲状腺機能亢進症の症状、診断、治療法について、獣医師向けに解説されています。
残念ながら、全文英語で書かれており、公式の日本語訳はみつけられませんでした。
私の方で要約・和訳したものを掲載したので、ご参考にしていただけたら幸いです。
次の話 >> メルカゾールの副作用対策にウルソ?
コメント
にゃぬしさん、初めまして。
うちの猫も甲状腺機能亢進症と診断され、現在チロブロック(2ヶ月)→メルカゾール投薬(3日)をしております。
その後、手術を行われましたでしょうか。
もしよろしければ、その後の経過などを綴っていただけると幸甚です。
あべ様
コメントくださりありがとうございます。
しばらくサイト確認を怠っており、ご返信が遅くなり大変失礼いたしました。
トラちゃんはその後手術(炎症を起こしていた側の甲状腺のみ摘出)を行い、経過観察を行っていたのですが、手術から1年半後、再びT4値が上昇してきました。
トラちゃんは今や16歳となり、麻酔をかけるのが心配な年齢になってきたため、現在はメルカゾール投与で病状をコントロールしております(今回は大きな副作用は出ませんでした)。
手術に向けて準備したこと、手術後のこと等、本日から書いていこうと思います。
あべ様の猫さんの病状コントロールとご快復にお役立ちできると嬉しいです。