甲状腺機能亢進症の治療開始

治療の経緯

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甲状腺機能亢進症の薬物療法開始

メルカゾール処方

トラちゃんの「甲状腺機能亢進症」の診断が出たその日に、獣医師から「薬で治療していきましょう」と言われました。

処方されたのは「メルカゾール錠5mg」という錠剤。

メルカゾール錠5mg

4等分にカットされたものを、1日2回飲ませるようにとのこと。

すなわち、1回あたり1.25mg、1日合計2.5mg分になります。

今考えるとこの時、獣医師から治療法については薬物療法しか説明されておらず、薬物療法以外にも手術や食事療法という方法もあるということは説明されていなかったです。

帰宅してからインターネットで調べてみても、多くの動物病院のサイトで、薬物療法を推奨されているように読めました。

後に、甲状腺摘出術(手術)という手段があり、薬剤療法と違って完治する可能性がある(※)ことを知りました。

ですが、当時は「甲状腺機能亢進症→薬物療法」という進み方に特に疑問を感じなかったのです。

※甲状腺摘出術について詳しくは、AAFP(全米猫獣医師協会)のガイドラインに概要、メリット、リスクなどが説明されています。本ガイドラインは英語で書かれているめ、日本語での概要を確認したい方は、ぜひ猫の甲状腺機能亢進症ガイドラインの要約_1猫の甲状腺機能亢進症ガイドラインの要約_2 をご参照ください。

メルカゾールとは

メルカゾール錠

トラちゃんが処方された「メルカゾール錠5mg」は本来は人間用の薬剤です。

人間の甲状腺機能亢進症用の薬ですので、添付文書(薬剤の取扱説明書)の情報も人間に投与した場合の情報が主になります。

どうやら、人間用の薬剤が動物に使用されることは多いみたいですね。

動物には国民皆保険がないため、人間用の薬と違って動物薬は儲けが少なさそうです。

ラインナップが少なく、人間用の薬で済まされてしまうのも納得・・・。

同じ哺乳類でも動物種によって代謝は違うはずなので、猫用のデータがある薬剤がそろってくれたらいいのに・・と思います。

前述したように、人間用の薬剤であるメルカゾール錠の添付文書には、人間での臨床実験でのデータと、少しだけラットでのデータが載っているだけなので・・・。

・・・と、実はメルカゾールに関しては猫用の動物薬が存在するのですよね。

チロブロック錠とメルカゾール錠

猫用のメルカゾールは「チロブロック錠」といいます。

メルカゾールと同じくチアマゾールという有効成分が使われており、メルカゾールの猫版です。

1.25mg錠、2.5mg錠が発売されています。

本来人間用のメルカゾールは一錠あたりの容量が2.5mgか5mgと大きく、猫に与えるためには分割しなくてはなりませんが、この分割が結構大変。

実際、スタッフ泣かせの薬だと、多くの動物病院さんが書いています。

我が家では、メルカゾールの分割は母しか出来ませんでした。

その点、チロブロックは最小容量が1.25mgなので、分割せずに与えやすいですね。

また、分割されたメルカゾールは苦いらしいのですが、チロブロックは分割せずに飲ませることができるため、猫さんが嫌がりにくいとか。

そして、何より素晴らしいのは、猫での臨床データがあり、それが一般公開されているということ

チロブロックの添付文書には、猫での薬物動態(薬効成分が猫の体内でどのように変化していくか)や猫での副作用が明記されています。

残念ながら、トラちゃんの通う病院はメルカゾール派だったようで、私は実際にチロブロックを見たことはないです。

メルカゾールを分割したほうが安く済むのかもしれませんね。

なので、我が家ではチロブロックの臨床データを参考にしながら、メルカゾールで治療していくことになりました。

薬剤の添付文書について

余談ですが、自分で薬を飲む場合でも、動物に飲ませる場合でも、添付文書の存在を知っているというのは大きなメリットになります。

添付文書は本来、医療者向けに書かれた医薬品の取扱説明書のようなものです。

メルカゾールの場合は3ページの添付文書が公開されています。

メルカゾール添付文書1ページ
メルカゾール添付文書2ページ
メルカゾール添付文書3ページ

専門家向けのため、とっつきにくい用語が多いし、字が細かくて読む気がしなくなります。

そもそもが取扱説明書なので、読んでいて面白みに欠けます。

ですが、

  • どんな病気のための薬なのか
  • 一日当たりどれくらい服薬べきなのか
  • どのくらいの期間飲んで大丈夫なのか(薬剤によっては長期の服用が体にダメージを負わせるものもありますが、医師がそれを理解せずに大量に処方することもあります)
  • その薬を使うと危険な病気(複数の病気を持っている方は要注意です)
  • その薬と一緒に投与してはいけない薬や食べ物(薬は組み合わせによってはかなり危険なもの有)
  • 気を付けるべき副作用(副作用には早く気が付いたほうが良い)

など、あらかじめ自分で少し調べておくだけで、危険を回避できる可能性が高まります。

もちろん、薬を処方される際に、病院や薬局で、正しい飲み方や、注意すべき副作用、飲み合わせについて教えてくれますが、全てを教えてはもらえません。

インターネットで「薬の名前 添付文書」と検索すれば、会員登録不要・無料ですべての薬剤の添付文書を確認することができます

いちいち調べるのは面倒かもしれませんが、初めての薬を飲む前に2~3分だけでもチェックしてみることをオススメいたします。

メルカゾールの飲ませ方

錠剤タイプの薬の飲ませ方

薬の飲ませ方についてもインターネットでいろいろ調べました。

  • 口を開けさせて、薬を口の奥の方に入れる方法(指で薬を直接入れる・投薬器で入れる)
  • エサやおやつに薬を混ぜて与える方法

が主な方法になるようでした。

口を無理やり開いて薬を口に押し込むのは、どう考えても嫌がりそうでした。

一方で、エサやおやつに薬を混ぜて与えて、薬に気付かれてしまった場合、次回から警戒してエサを食べてくれなくなる怖れがありました。

ただでさえ痩せが進んでしまっているのに、エサを拒否されたらと思うと恐ろしくて・・・。

結局、口を開けさせて、薬を口に押し込む方法を採用しました。

やっぱり吐き出す

二人がかりで投薬開始です。

一人がトラちゃんを抱きかかえます。

もう一人がトラちゃんの口を開け、薬を口の奥の方、舌の奥の方に押し込みます。

案の定、ゴクンと飲み込まず、錠剤を口の中で上手に移動させ、ペッと吐き出しました

トラちゃんは回数を重ねるごとに、吐き出すタイミングや吐き出し方が上手になってきました。

人間が、薬を舌の奥の方に置き、口を閉じさせて喉をさすってあげます。

すると、「ゴクン」って感じの喉の動きがあったので、安心して手を離すと、しばらくしてから部屋の隅の方でぺッとしていたりします。

なので、薬を飲ませた後は、トラちゃんが歩いた後をついて回り薬が落ちていないか探す毎日

床に四つん這いになった私。

気分はシャーロックホームズ・・。

こんなバトルを続けているうちに、人間の方も薬の飲ませ方が上手くなっていき、ペッと吐き出される回数は減っていきましたが、油断はできませんでした。笑

次の話 >> メルカゾール錠の副作用が出た!

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